第13話 「春遠からじ・・・」

『こさかくん、大丈夫』
「何かボーっとしてたけど」

『転校!?』


「桜月サンたち転校なんてしたいわけないもん」
「うん。ふたりとものぞむちゃんのこと好きなんだから」
「冗談なんかじゃないよ。私たちも」
「剣持さんにも」
『のぞむちゃん!』
「私たちも急ごう」


「とにかく私たちに出来ることしなきゃって思って」
「お願いします」
「そうよ酷い!」
「桜月サンたちの悲しい顔を見たくないなんて勝手過ぎると思います」


「そう、人間って喜んだり笑ったりするだけじゃなくて、時には悲しんだり泣いたり怒ったりそういうことも必要なのに」

「それって桜月さんたちのためじゃなくて、本当は自分が悲しい顔を見るのがつらいからなんじゃないですか」
「だって私たち友達だから」
「桜月サンたちって、気持ちが優しすぎるから思ってても、きっと剣持さんには言えない。だから!」
『お願いします!』


『ハァー』『うん!』


「ほほう」
『ぅひひぅぅふふふ』
「ホントに仲良しなのね」


「こっちだって負けないよ、ユラちゃんキラちゃん」